2026-08-27

相続で受け継いだ不動産を売却するとき、相続税や譲渡所得税などの税金がどのように関わってくるのか不安を感じていないでしょうか。
特に、売却のタイミングや手続き次第で、将来の税負担が大きく変わる可能性があるため、最初の判断がとても重要です。
そこで本記事では、相続した不動産を売却するときに押さえておきたい税金の基礎から、相続税の取得費加算の特例やマイホーム売却の特別控除までを、できるだけ分かりやすく整理して解説します。
まずは全体像をつかむことで、自分にどのような制度が関係するのか、何から準備すべきかが見えてきます。
相続した不動産の売却を検討している方が、損をしない判断につなげられるよう、実務上のポイントも交えながら順番に見ていきましょう。
相続した不動産を売却するときには、相続税と譲渡所得税、住民税という複数の税金が関係してきます。
まず、相続そのものに対しては相続税が課される可能性があり、その後に不動産を売却して利益が出た場合には譲渡所得税・住民税が課税されます。
このように、相続時と売却時で税金の種類と計算方法が変わるため、それぞれを切り分けて理解することが大切です。
特に、相続税を既に納めているからといって、売却時の譲渡所得税・住民税が不要になるわけではない点に注意が必要です。
譲渡所得税と住民税は、不動産を売却したときの利益である「譲渡所得」の金額を基準に計算されます。
譲渡所得は、一般に「譲渡収入金額-取得費-譲渡費用」という式で求めることとされています。
譲渡収入金額とは売却代金の総額をいい、取得費とは土地や建物を手に入れるためにかかった費用をいい、譲渡費用とは仲介手数料など売却のために支出した費用をいいます。
この計算の結果、利益が出た場合に、その金額に応じて所得税としての譲渡所得税と、あわせて住民税が課されます。
不動産の譲渡所得税・住民税の税率は、その不動産の所有期間によって大きく変わる仕組みになっています。
所有期間が原則として5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」とされ、それぞれに異なる税率が適用されます。
長期譲渡所得の方が短期譲渡所得よりも税率が低く設定されているため、相続した不動産をいつ売却するかによって、最終的な税負担が変わる可能性があります。
なお、所有期間の判定は、相続した日ではなく、被相続人がその不動産を取得した日から通算して判断される点が重要なポイントです。
| 税金の種類 | 課税のタイミング | 主な計算の基準 |
|---|---|---|
| 相続税 | 相続発生時 | 相続財産全体の評価額 |
| 譲渡所得税 | 不動産売却時 | 譲渡所得の金額 |
| 住民税 | 不動産売却後 | 譲渡所得と居住地 |
相続税の取得費加算の特例とは、相続や遺贈で取得した不動産を一定期間内に売却した場合に、支払った相続税の一部を不動産の取得費に上乗せできる制度です。
取得費が増えることで譲渡所得が小さくなり、その結果として所得税と住民税の負担を抑えられます。
相続財産を売却して納税資金を確保する人の税負担軽減を目的とした仕組みであり、相続税と譲渡所得税が短期間に二重にかかる不公平を緩和する役割があります。
まずは、この特例の仕組みとメリットを理解しておくことが重要です。
この特例の対象となるのは、相続や遺贈により取得した不動産を、相続税の申告書提出期限の翌日から3年を経過する日までの間に売却した場合です。
相続税の申告期限は、相続開始日の翌日から10か月以内とされていますので、結果として相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却した場合が、おおむねの適用期間となります。
また、相続税が実際に課税されていることや、売却した不動産が相続税の課税価格に含まれていることなど、国税庁が定める要件を満たす必要があります。
売却の時期や相続税の申告状況によって適用可否が変わるため、日付の確認が欠かせません。
取得費加算の特例を受けるには、売却した年分の確定申告で譲渡所得の申告を行い、その際に相続税額の取得費加算を反映させる必要があります。
あわせて、「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」や相続税申告書の写しなどを添付し、相続税額のどの部分を取得費に加算したかを明らかにします。
そのためには、相続税申告の控え、相続税評価額が分かる資料、売買契約書や仲介手数料の領収書などを整理して保管しておくことが重要です。
相続から時間がたつほど書類の所在が分かりにくくなりますので、早めの準備が安心につながります。
| 確認したいポイント | 主な内容 | 注意しておきたい点 |
|---|---|---|
| 特例の目的 | 短期二重課税の緩和 | 相続税と譲渡所得税負担軽減 |
| 適用期間 | 相続開始後3年10か月以内 | 相続税申告期限から3年以内売却 |
| 手続き | 譲渡所得の確定申告 | 計算明細書と相続税申告書写し添付 |
居住用として利用していた不動産を売却する場合には、一般の土地建物の売却よりも有利な税制が複数用意されています。
代表的なものが、居住用財産の譲渡所得について最高3,000万円までを差し引く特別控除です。
この特別控除は、所有期間の長短にかかわらず利用できることが大きな特徴とされています。
まずは、どのような場面でどの税制優遇が想定されるのか、全体像を押さえておくことが大切です。
マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除は、一定の要件を満たした居住用財産の譲渡益から、最高3,000万円まで控除できる制度です。
所有期間が10年を超える場合には、この特別控除を適用したうえで、さらに軽減税率が使える場合もあります。
ただし、過去2年以内に同様の特例を利用していないことや、譲渡先が近しい親族などでないことなど、細かな要件があります。
そのため、売却前に自分のケースで本当に適用できるかを確認しておくことが重要です。
相続した空き家や実家を売却する場合には、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することや、一定の耐震基準を満たすこと、売却価格が1億円以下であることなどが主な条件です。
また、相続人が3人以上のときは特別控除額が2,000万円となるなど、令和の税制改正により要件が見直されています。
相続した不動産の売却を検討する際には、この空き家特例の対象となるかどうかを早めに確認することが大切です。
| 制度名 | 主な対象 | 控除額等の上限 |
|---|---|---|
| マイホーム3,000万円特別控除 | 自己の居住用不動産の売却 | 譲渡所得から最高3,000万円控除 |
| マイホーム軽減税率 | 所有期間10年超の居住用財産 | 3,000万円控除後の部分に軽減税率 |
| 相続空き家3,000万円特別控除 | 被相続人居住用空き家・敷地の売却 | 相続人数に応じ最高3,000万円等控除 |
相続した不動産を売却する際には、相続税の申告期限や納税時期との関係を踏まえた資金計画が重要になります。
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があり、この期限までに売却代金をどこまで納税に充てられるかを検討しておくことが欠かせません。
売却が期限に間に合わない場合は、預貯金など他の資産で一時的に納税し、その後の売却代金で借入金の返済や資金の組み替えを行う方法もあります。
このように、売却時期と納税資金の手当てを早い段階で整理しておくことで、延滞税や加算税のリスクを抑えやすくなります。
相続税の評価額と、実際の売却価格が一致しないことは少なくありません。
相続税では路線価や固定資産税評価額などを基に評価されますが、売却価格はその時点の市場価格で決まるため、評価額より高く売れれば譲渡所得が増え、評価額より低くしか売れなければ譲渡所得が抑えられる一方で相続税だけが相対的に重く感じられる場合があります。
さらに、相続や贈与により取得した土地建物の譲渡では、被相続人が取得してから売却した年の1月1日までの所有期間により、長期譲渡所得か短期譲渡所得かが判定され、適用される税率が変わります。
相続税額の一部を取得費に加算できる特例の有無も含めて、相続税と譲渡所得税・住民税の両面から負担全体を確認しておくことが大切です。
相続した不動産を売却するためには、まず相続登記により名義を相続人名義に変更する必要があり、その後に売買契約や決済、引渡しといった手続きが続きます。
売却が完了した年分については、翌年の確定申告期間内に譲渡所得の申告を行い、相続税の取得費加算の特例を利用する場合は、相続税の申告書の提出期限の翌日から3年を経過する日までに売却することが条件となります。
相続税の申告が必要な場合には、相続開始から10か月以内に相続税の申告と納税を行い、その際に評価額や納税方法について専門家へ相談しておくと、その後の売却や譲渡所得の申告をスムーズに進めやすくなります。
売却の見通しが立った段階で、相続登記や税務申告のスケジュール、必要書類の整理などを早めに確認し、適切な時期に専門家へ相談することが、相続税負担を抑えつつ安全に手続きを進めるうえで有効です。
| 確認したいポイント | おおまかな期限 | 専門家へ相談する目安 |
|---|---|---|
| 相続税の申告と納税 | 相続開始から10か月以内 | 相続開始後できるだけ早期 |
| 相続登記と売却準備 | 売却活動開始前まで | 売却を検討し始めた段階 |
| 譲渡所得の確定申告 | 売却した年の翌年の申告期間 | 売買契約締結から決済前後 |
相続した不動産の売却では、相続税だけでなく、譲渡所得税や住民税も合わせて考えることが大切です。
特例の有無や所有期間によって、手取り額は大きく変わります。
相続税の取得費加算やマイホームの特例などを上手に使うには、期限や条件を正しく理解し、早めに準備することがポイントです。
当社では、相続税を意識した不動産売却の流れや必要書類、専門家との連携まで丁寧にサポートします。
具体的な税負担や売却の進め方が気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。
資格:宅地建物取引主任者 賃貸不動産経営管理士 ほめ達3級
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