2026-09-18

親から相続した実家がなかなか売れず、固定資産税だけ払い続けている。
そんな状況に心当たりはないでしょうか。
相続した家が売れない背景には、権利関係の整理不足や法的な制限、物件そのものの老朽化など、いくつもの理由が絡み合っていることが少なくありません。
しかし、ポイントを押さえて一つずつ整理していけば、売却のハードルを下げることは十分可能です。
この記事では、相続人として実家を引き継いだ方に向けて、売れない典型的な原因と固定資産税・管理リスク、そして売却しやすくするための具体的な手順や、後悔しないための出口戦略までを分かりやすく解説します。
今のうちに知っておきたい注意点を押さえ、実家の扱いについて冷静に考えるきっかけにしてみてください。
相続した実家がなかなか売れない場合、最初に確認したいのが権利関係の整理状況です。
相続登記が未了で名義が被相続人のままになっていると、買主への所有権移転登記ができず、実務上売却手続きが進みません。
さらに、遺産分割協議がまとまらないまま複数人の共有名義となっていると、全員の同意が必要になり契約成立まで時間がかかります。
過去の住宅ローン等の古い抵当権や根抵当権が抹消されていない場合も、買主側の融資審査に影響し、契約条件が厳しくなる要因となります。
次に影響が大きいのが、土地や建物にかかる法的な制限です。
建築基準法上の接道義務を満たさず、原則として建て替えができない「再建築不可」と扱われる土地は、住宅ローンが利用しにくく、購入希望者が限られます。
また、敷地が狭小で道路に接する部分が短い場合や、都市計画における用途地域や建ぺい率・容積率の制限が厳しい場合も、希望する建物が建てられず、資産価値が下がることがあります。
このような法令上の制約は、事前に登記簿や役所で確認しないと気付きにくく、売却活動を始めてから判明して取引が中断することもあります。
物件そのものの状態も、売れ行きを左右する大きな要因です。
長期間空き家となり、雨漏りや構造部の劣化が進んだ老朽化住宅は、解体費用や大規模修繕費を前提に価格交渉されるため、相場より大幅に低い提示になりがちです。
周辺の住宅需要が弱い立地であるにもかかわらず、近隣の新しい住宅と同程度の価格を設定していると、内見の申込み自体が少なくなります。
このように、建物の老朽化、立地条件、周辺相場との乖離が重なると、長期間売れ残り、結果として価格の大幅な見直しを迫られることになります。
| 分類 | 具体的な売れない要因 | 放置した場合の主な影響 |
|---|---|---|
| 権利関係 | 相続登記未了・共有名義 | 売買契約や登記手続き停滞 |
| 法的制限 | 再建築不可・接道義務不適合 | 住宅ローン利用困難・需要減少 |
| 物件状況 | 老朽化・相場不適合価格 | 長期売れ残り・大幅値下げ |
親が亡くなって実家を相続すると、名義変更の有無にかかわらず、相続人には固定資産税を納める義務が引き継がれます。
地方税法では、毎年1月1日時点の所有者や、現に所有している相続人が納税義務者になると定められており、共有の場合は相続人全員が連帯して負担することになります。
相続登記をして新たな所有者が登記されれば、その人が翌年度以降の納税義務者として扱われるため、誰が支払うのかを早めに整理しておくことが大切です。
こうした仕組みを理解しておくことで、思わぬ税負担に慌てずに済みます。
一方で、相続した実家を人が住まないまま放置すると、建物の老朽化が早く進み、屋根や外壁の破損など安全面のリスクが高まります。
さらに、庭木や雑草の伸び放題、ごみの放置、害虫や小動物の発生などにより、景観の悪化や悪臭、衛生面の問題が生じ、近隣住民とのトラブルに発展するおそれもあります。
窓ガラスの破損や出入口の施錠忘れがあれば、不法侵入や不法投棄、防犯上の不安も高まり、地域全体の治安悪化につながりかねません。
このような管理不全の状態を避けるためにも、定期的な見回りや清掃、庭木の剪定といった基本的な管理を継続することが重要です。
空き家対策の特別措置法では、周囲に悪影響を及ぼす状態の空き家を「特定空家」として市区町村が指定できる仕組みが設けられています。
勧告を受けた特定空家は、土地について住宅用地特例が外され、固定資産税の軽減措置が適用されなくなるため、税負担が増加する可能性があります。
また、指導や勧告に従わず放置を続けると、命令や行政代執行により解体費用の負担を求められる場合もあり、経済的なダメージが大きくなります。
実家を相続したら、空き家にしない工夫や早めの活用・処分の検討を行い、特定空家の指定や行政からの指導を受けないよう注意することが大切です。
| 項目 | 内容 | 相続人の注意点 |
|---|---|---|
| 固定資産税の負担 | 相続人全員の納税義務 | 納税者と負担割合の確認 |
| 空き家の管理 | 老朽化防止と近隣配慮 | 定期巡回と清掃の実施 |
| 特定空家の指定 | 税優遇の解除と行政指導 | 早期対応と活用方針の検討 |
まずは、相続人と不動産の名義を一致させることが重要です。
相続登記を行い、不動産登記簿上の所有者名義を被相続人から相続人へ変更しておくことで、売買契約の準備が整います。
相続登記は、戸籍関係書類の収集、遺産分割協議書の作成、登記申請書の提出という流れが一般的です。
令和6年から相続登記は原則義務化されていますので、早めの手続きが望ましいです。
共有名義の場合は、全ての共有者の意思をそろえることが欠かせません。
遺産分割協議書の内容を全員が理解し、署名押印しておくことで、後の売却手続きが円滑になります。
古い抵当権や根抵当権が登記簿に残っている場合は、金融機関などの権利者に抹消の可否を確認し、必要に応じて登記の抹消申請を行います。
このように、権利関係を早い段階で整理することが、売れない状況を防ぐ第一歩になります。
次に、建物の状態や管理状況を確認しておくと、買主側の不安を減らしやすくなります。
国土交通省が示す既存住宅の建物状況調査(いわゆるインスペクション)は、専門家が基礎や外壁などの劣化状況を調査する仕組みであり、必要に応じて活用を検討できます。
また、屋根や外壁の簡易な補修、庭木の剪定、室内の整理整頓や清掃など、最低限の手入れをしておくことで、内覧時の印象が大きく変わります。
空き家対策に関する公的なチェックリストも参考にしながら、危険箇所や老朽化部分があれば早めに対処しておくことが大切です。
最後に、価格や活用方法を見直すことも重要な整理手順です。
同種の空き家については、国の施策として利活用や管理の促進が進められており、市場の需要や管理状況によっては売却以外の活用が適している場合もあります。
売れない状況が続いているときは、想定している売却価格が周辺の取引水準や物件の状態に合っているかを慎重に見直す必要があります。
売却と併せて、一定期間の管理や活用を組み合わせる選択肢も比較検討しながら、自身の負担と将来のリスクを考えた現実的な方針を整理していくことが大切です。
| 整理の段階 | 主な確認事項 | 整備の目的 |
|---|---|---|
| 権利関係の整理 | 相続登記完了と共有者合意 | 売買契約を可能にする基盤整備 |
| 建物状態の確認 | 劣化状況点検と必要最低限の補修 | 安全性確保と印象向上 |
| 価格と活用検討 | 市場水準の確認と出口方針整理 | 売却実現と将来負担の軽減 |
相続した実家については、売却、賃貸、保有継続、相続放棄など複数の出口がありますが、それぞれで税金や維持管理の負担、将来の選択肢が大きく変わります。
たとえば空き家のまま長期間放置すると老朽化が進み、売却や賃貸への転用が難しくなることが、国民生活センターや国土交通省の資料でも指摘されています。
相続人としては、感情面だけで判断するのではなく、固定資産税や修繕費、今後の家族構成などを総合的に考えることが重要です。
まずは、それぞれの選択肢の特徴とメリット・デメリットを冷静に整理しておくとよいです。
親が元気なうちから「将来、実家をどうするか」を話し合っておくことは、空き家の発生や管理不全を防ぐうえでとても有効だとされています。
誰が住み続けるのか、誰も住まない場合は売却や解体を検討するのかといった方向性が決まっていれば、相続発生後に相続人同士で揉める可能性を減らせます。
また、親自身にとっても、自宅を「どのように引き継ぎたいか」を早めに考えることで、遺言の作成や生前贈与、老朽化対策などの選択肢を取りやすくなります。
このように、親子で早期に情報を共有し、考えをすり合わせておくことが、後悔しない出口戦略の土台になります。
いざ相続が発生したときにスムーズに動くためには、相談先と情報源をあらかじめ把握しておくことが大切です。
税金面では、国税庁が公開している相続税の仕組みや土地建物の評価方法、路線価などを確認することで、おおまかな税負担のイメージを持つことができます。
また、空き家に関するリスクや「特定空家」「管理不全空家」に指定された場合の固定資産税の優遇措置の解除などについては、国土交通省や関係府省庁の資料を参考にすると、放置した場合のデメリットを具体的に把握できます。
これらの公的情報を基礎にしつつ、個別の事情については専門家に相談することで、自分たちの状況に合った出口戦略を検討しやすくなります。
| 選択肢 | 主な特徴 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 売却 | 固定資産税負担の解消 | 権利関係整理と価格検討 |
| 賃貸 | 家賃収入による活用 | 空室リスクと管理負担 |
| 保有継続 | 親族の拠点として維持 | 固定資産税と修繕費負担 |
| 相続放棄 | 相続財産からの離脱 | 他の財産も含めた判断 |
相続した実家が売れない背景には、権利関係の整理不足や法的制限、老朽化や価格設定の問題など、複数の要因が絡んでいます。
その間も固定資産税や管理リスクは相続人が負い続けるため、放置は大きな負担になりかねません。
早めに現状を整理し、売却・賃貸・保有継続などの出口戦略を比較検討することが大切です。
当社では、相続登記後の名義確認から売却しやすくするためのポイントまで、状況に合わせて丁寧にサポートします。
「この実家をどうするべきか」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
資格:宅地建物取引主任者 賃貸不動産経営管理士 ほめ達3級
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