実家の相続で兄弟姉妹はなぜ揉める?争いを防ぐために決めておきたいこと

2026-09-19

実家相続


親の実家をどう相続するかは、兄弟姉妹にとって避けて通れないテーマです。
しかし、誰が住み続けるのか、売却するのかといった方針があいまいなままだと、相続の場面で意見が対立しやすくなります。
さらに、同居や介護を担ってきた人と、遠方に住む人との間で、不公平だと感じる気持ちが強くなることも少なくありません。
そこで本記事では、実家の相続で兄弟姉妹が揉める前に、あらかじめ決めておきたいポイントを整理して解説します。
基本的なルールから、具体的な話し合いの進め方までやさしくお伝えしますので、これからの備えとしてぜひ参考にしてください。

実家の相続で兄弟姉妹が揉めやすい背景

実家のような不動産は、現金とは異なり物理的に分けにくい性質があるため、法定相続分どおりに分けることが難しくなりやすいです。
たとえば、兄弟姉妹が複数いる場合でも、実家そのものは誰かが単独で相続するか、共有にするか、売却して代金を分けるかといった選択を迫られます。
この際、民法で定められた持分割合と、実家に対する思い入れや居住状況との間に差が生じると、不満が高まりやすくなります。
その結果、「法律上の取り分」と「心理的に納得できる分け方」とのギャップが、兄弟姉妹間の対立の火種になることが多いです。

また、相続が発生する前から、誰か一人が親と同居していたり、長期間にわたって介護を担っていたりする場合、その負担をどう評価するかが大きな論点になります。
同居していた子が生活費や医療費を多く負担していたり、生前贈与や生活援助を受けていた子がいたりすると、他の兄弟姉妹が「自分だけ損をしている」と感じることがあります。
一方で、介護や見守りを担ってきた側からすると、「自分の時間や仕事を犠牲にしてきたのだから、その分を相続で報われたい」と考えるのも自然です。
このように、金銭では測りにくい貢献度や生前のやり取りが積み重なることで、相続の場面で強い不公平感が表面化しやすくなります。

さらに、実家の相続では、金額だけでは割り切れない感情面の対立が生じやすい点にも注意が必要です。
親への思い出が詰まった実家を手放したくない人と、維持管理の負担から早く処分したい人とで意見が大きく分かれると、話し合いが感情論に発展しやすくなります。
一度感情的な対立が深まると、遺産分割協議が長期化し、相続登記や税務申告などの必要な手続きが遅れてしまうことがあります。
その結果、相続人同士の関係悪化にとどまらず、空き家化や管理不全といった二次的な問題を招くおそれもあります。

争いの要因 背景となる事情 生じやすい影響
不動産の分けにくさ 法定相続分とのずれ 持分配分への不満
同居や介護負担 貢献度評価の相違 不公平感の増幅
実家への思い入れ 売却か維持かの対立 協議の長期化

相続人が知っておきたい実家相続の基本ルール

まず、誰が相続人になるのかを確認しておくことが大切です。
民法では、配偶者は常に相続人となり、そのうえで血族として第1順位が子、第2順位が父母などの直系尊属、第3順位が兄弟姉妹という順番が定められています。
次に、法定相続分は、例えば配偶者と子が相続人のときは配偶者が2分の1、残り2分の1を子ども全員で等分するなど、法律により割合が決められています。
誰がどのくらい相続する権利を持つのかを理解しておくことで、実家の扱いを話し合う際の前提が共有しやすくなります。

次に、遺言書の有無によって、相続人同士の話し合いの位置づけが変わる点を押さえておきましょう。
自筆証書遺言や公正証書遺言など有効な遺言書がある場合、原則としてその内容に従って遺産を分けることになり、遺産分割協議が不要となる場面もあります。
一方、遺言書がない場合には、民法で定められた法定相続分を基準に、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを合意する必要があります。
特に実家の不動産は分け方によって利害が分かれやすいため、遺言書の有無を早めに確認しておくことが重要です。

実家を誰かが相続することになった場合には、主な手続きの流れも知っておくと安心です。
不動産を相続したときは、相続登記の申請が義務化されており、相続開始を知ってから3年以内に名義変更を行う必要があります。
一般的には、戸籍謄本などで相続人を確定し、遺言書がなければ遺産分割協議書を作成したうえで、必要書類をそろえて法務局に相続登記を申請するという流れです。
こうした基本的な手続きの順序を押さえておくことで、実家の相続が発生したときに慌てず準備を進めやすくなります。

確認しておきたい項目 押さえるべきポイント 実家相続への影響
誰が相続人か 配偶者と血族の順位 話し合いに参加する範囲
法定相続分 各相続人の割合 分け方のたたき台
遺言書の有無 内容と形式の確認 協議の要否と範囲
相続登記手続き 期限と必要書類 名義変更と利活用

兄弟姉妹で揉める前に決めておきたい「実家の方針」

まずは、実家についてどのような選択肢があるのかを家族で共有しておくことが大切です。
実家に誰が住み続けるのか、空き家にせず売却して現金化するのか、賃貸として活用して家賃収入を得るのかなど、主な方向性だけでも整理しておくと話し合いが進めやすくなります。
親の介護や通院、通学などの事情によって現時点で最適な方針と、将来変更が必要になる方針が異なる場合もあります。
そのため、現在の希望と将来の見通しの両方を踏まえて、選択肢ごとのメリットと負担を冷静に比較しておくことが重要です。

次に、実家を残すにしても売却するにしても、将来の費用負担と管理責任をどう分担するかを明確にしておく必要があります。
実家を所有し続ける場合、固定資産税や都市計画税のほか、外壁や屋根の修繕費、給排水設備の交換費用などが継続的に発生します。
また、遠方に住む相続人が多いと、草木の手入れや通水、郵便物の確認といった日常的な管理が疎かになり、空き家として近隣トラブルや防災上のリスクが高まるおそれもあります。
そこで、誰がどの程度の割合で費用を負担し、誰が日常の管理を担当するのか、負担に見合う形で将来の持分や賃料配分をどう調整するのかを、できるだけ具体的に決めておくことが望ましいです。

さらに、実家を相続する際に、共有名義にするか単独名義にするかも重要な検討事項です。
共有名義は、兄弟姉妹全員が権利を持てる一方で、売却や建替え、賃貸借契約などの際に共有者全員の同意が必要となり、意見が割れると手続きが進まないというデメリットがあります。
単独名義とする場合は、意思決定がしやすく管理も一元化できますが、名義人だけが費用と責任を負う形になりやすいため、他の相続人との間で代償金の支払いや、現金や他の財産を含めた公平な分配を検討することが重要です。
このように、それぞれの名義形態の特徴を理解したうえで、自分たちの家族構成や将来のライフプランに合った方針を選ぶことが、無用な対立を避けるうえで役立ちます。

実家の方針 主なメリット 主な注意点
誰かが住み続ける 生活基盤の維持 費用負担の偏り
売却して現金化 遺産分割の明確化 思い出喪失の懸念
賃貸として活用 家賃収入の確保 空室リスクと管理
共有名義で保有 権利の平等感 意思決定の複雑化
単独名義で保有 管理と判断の迅速化 代償金などの調整

相続人同士が円満に合意するための話し合いと専門家の活用

相続での行き違いを減らすためには、親が元気なうちから相続人全員で情報を共有することが大切です。
例えば、親の希望や実家の名義、ローンや税金の状況など、基本的な事実を家族で確認しておくと、後の誤解を防ぎやすくなります。
その際には、誰か一人だけで進めるのではなく、兄弟姉妹が同じ場に集まり、順番に意見を出していく進め方が有効です。
こうした準備を重ねることで、相続の時期が来ても落ち着いて話し合いを進めやすくなります。

話し合いの内容は、記憶だけに頼らず、書面に残しておくことが重要です。
例えば、親が自ら遺言書を作成し、法務局で保管しておく制度を利用すれば、内容の改ざんや紛失の不安を減らすことができます。
また、相続人同士で合意した内容については、簡単なメモでも良いので日付と参加者を明記し、後で遺産分割協議書を作成するときの材料にすると整理しやすくなります。
このように、話し合いを「見える形」にして残すことで、時間がたってから認識が食い違うことを防ぎやすくなります。

一方で、家族だけでは判断が難しい場合や、税金・手続きが複雑になりそうな場合もあります。
そのようなときには、相続税の仕組みを整理した国税庁の情報を参考にしつつ、早めに税理士や司法書士、弁護士などの専門家へ相談することが役立ちます。
特に、相続税の申告が必要となる可能性があるケースでは、申告期限までの流れを事前に確認しておくと安心です。
実家という不動産に関する判断は金額も影響も大きいため、家族の話し合いと専門家の助言を組み合わせて進めることが、円満な相続につながりやすくなります。

事前に共有したいこと 書面で残したい内容 専門家へ相談したい場面
実家の名義やローン状況 親の希望と相続人の合意 相続税がかかる可能性
固定資産税などの負担状況 将来の居住や売却の方針 相続人間で意見が対立
兄弟姉妹それぞれの事情 話し合いの経過と日付 登記や協議書作成が不安

まとめ

実家の相続は、感情とお金が絡み合うため、兄弟姉妹で揉めやすいテーマです。
だからこそ、親が元気なうちに「誰が住むのか」「残すか売るか」「費用は誰が負担するのか」を話し合っておくことが大切です。
当社では、相続の基本ルールから実家の活かし方、売却・賃貸・管理まで、状況に合わせた具体的な選択肢をご提案します。
「うちの場合はどうするのが良いのか」を一緒に整理していきますので、兄弟姉妹だけで抱え込む前に、ぜひお気軽にご相談ください。

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改田享

資格:宅地建物取引主任者 賃貸不動産経営管理士 ほめ達3級

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