2023-06-24
認知症などで判断能力が低下した場合、不動産の売却ができるのか不安を感じていませんか。
そのような場合でも、成年後見人を選任すれば、不動産を売却することが可能です。
本記事では、京阪エリアで不動産の売却を検討している方向けに、成年後見制度とは何か解説します。
申立ての手順や成年後見人による不動産売却の方法についても解説しますので、ぜひご参考にしてください。
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判断能力が低下した方は、成年後見制度に基づき成年後見人を選定できます。
ここからは、成年後見制度がどのような制度で、成年後見人はどのような役割を果たすのか解説します。
成年後見制度は、判断能力が低下した方の支援を目的とした国の制度です。
判断能力が低下する原因は、認知症や精神的な障害、知的障害など、さまざまです。
この制度を利用すると、家庭裁判所監督のもと、成年後見人から支援を受けられます。
支援内容は、「財産管理」と「身上監護」の大きく2種類です。
財産管理とは、不動産や預貯金など本人名義の財産を保護する支援を指します。
身上監護とは生活の支援のことで、具体的には介護契約や施設への入所手続きなどです。
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。
2つの制度の大きな違いは、成年後見人の選び方と成年後見人に認められている権利です。
任意後見制度とは
任意後見制度は、本人が直接成年後見人を選ぶのが特徴です。
本人の判断能力が低下する前に、将来に備えて自らの意思で選出します。
任意後見制度で専任された成年後見人のことを、任意後見人といいます。
任意後見人は一部例外を除き誰でも務められますが、弁護士・司法書士などの専門家や親族が務めるのが一般的です。
本人と任意後見人は、任意後見契約を公正証書にして結ばなければなりません。
公正証書は公証役場で作成された、証明力の高い書面です。
法定後見制度とは
法定後見制度は、本人ではなく家庭裁判所が成年後見人を選ぶのが特徴です。
家庭裁判所が、成年後見人に適している方を客観的視点で判断し、選任します。
任意後見制度で認められているのは代理権のみですが、法定後見制度では代理権、同意権、取消権の3つの権利が認められています。
それぞれの権利の特徴は、以下の通りです。
法定後見制度は本人の判断能力の応じて、さらに「補助」「保佐」「後見」の3段階に分けられます。
支援する立場の方を補助人、保佐人、成年後見人といい、3つ合わせた呼び方が「成年後見人等」です。
本人の判断能力が最も低い場合が後見で、最も高い場合が補助、その中間が保佐となります。
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法定後見制度で成年後見人を選任する場合は、成年後見申立ての手続きが必要です。
ここでは成年後見申立て手続きの流れや必要書類をご紹介いたします。
法定後見制度で成年後見人を選任する際は、家庭裁判所に審判を申し立てる手続きから始まります。
申立人になれるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長などです。
申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対しておこないます。
申立てが受理されると、家庭裁判所による成年後見人の選任の審判がおこなわれ、3か月程度で決定されます。
審判の間に、関係者との面接や、医師による本人の鑑定などがおこなわれることもあるため、確認しておきましょう。
申立ての手続きをおこなう際は、必要書類を準備して家庭裁判所に提出しなければなりません。
まずは、申立書と申立書付票が必要です。
申立人と本人の情報などについて、必要事項を記入します。
成年後見人の候補者に関する情報を記載した、後見人等候補者身上書も提出しましょう。
本人の親族関係を表した親族関係書には、それぞれの氏名や生年月日の記入が必要です。
本人の財産を一覧表にした財産目録や、年間収支を記載した収支予定表も作成します。
医師に作成してもらった診断書は、本人の判断能力を証明するための重要な書類です。
本人に成年後見等の登記がされていないことの証明書は、法務局から取り寄せる必要があります。
その他、戸籍謄本や住民票の写しなどを市区町村役場から入手しましょう。
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成年後見人が本人の代わりに不動産を売却する場合は、通常とは異なる手続きをとる必要があります。
ここからは、成年後見人が不動産を売却する方法を解説いたします。
まずは成年後見人による不動産売却の全体的な流れを把握しておきましょう。
初めは通常の不動産売却と同じように、売却価格相場を把握するために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
不動産会社が出した査定価格をもとに、仲介の依頼先を決めたら、その会社と媒介契約を結びます。
その後、媒介契約の種類に基づいた内容で、不動産会社に売却活動を進めてもらいます。
売却活動の結果、購入希望者が現れたら、いよいよ売買契約を結ぶ手続きです。
ただし成年後見人が不動産売却をおこなう場合は「停止条件付売買契約」を結ばなくてはなりません。
この場合の停止条件とは、家庭裁判所の許可が下りなければ売買契約を白紙に戻すというものです。
そして次に、家庭裁判所に売却許可決定の申立てをおこないます。
家庭裁判所から許可が下りれば、決済・引き渡しとなり売却手続きは完了です。
以上が成年後見人による不動産売却のおおまかな流れです。
しかし売却対象が居住用不動産か非居住用不動産かによっても、売却方法が大きく異なってきます。
たとえば居住用不動産を売るときは、先述したように家庭裁判所に売却の許可を得なければなりません。
居住用不動産には本人が居住している不動産はもちろん、将来居住予定の不動産や以前入居していた不動産も含まれます。
家庭裁判所の許可が必要な理由は、住まいが勝手に売却されないよう、被後見人を保護するためです。
そのため許可を得るためには、売る必要がある理由を明確にし、それを申立書に記載する必要があります。
また申立書以外にも、売却許可決定の申立てには以下の書類が必要です。
家庭裁判所は申立書に記載された理由や、さまざまな視点を考慮して、総合的な判断を下します。
一方で非居住用不動産の場合は、成年後見人の判断で売却でき、家庭裁判所の許可は不要です。
そのため基本的には通常の不動産売却のように売買契約を結んだ後、決済・引き渡しをおこなうことができます。
ただし後見監督人がいる場合は、後見監督人から同意を得なければなりません。
また居住用不動産よりも縛りは少ないものの、こちらも不動産を売却するには合理的な理由が必要です。
もし被後見人が損をするような売却をおこなった場合、成年後見人を解任されてしまう可能性があります。
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成年後見人は判断能力が低下した方を支援する立場であり、任意後見制度か法定後見制度いずれかの方法によって選任されます。
成年後見人を選任する際は成年後見申立て、成年後見人が不動産を売却する際は売却許可決定の申立てが必要です。
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