相続税の取得費加算の特例とは?適用できないケースと併用可能な税制を解説

相続税の取得費加算の特例とは?適用できないケースと併用可能な税制を解説

この記事のハイライト
●取得費加算の特例とは、相続税額の一部を譲渡所得を計算する際に用いる取得費に加算できる制度
●取得費加算の特例が適用できないケースは、贈与された財産や、夫婦間の相続である場合
●取得費加算の特例と併用できる特例は「3,000万円の特別控除」「居住用財産の買い換えの特例」「小規模宅地等の特例」である

不動産を売却すると、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税(所得税・住民税)が課せられます。
もし相続によって取得した不動産を売却するのであれば「取得費加算の特例」を利用して節税対策が可能です。
そこで、取得費加算の特例とはどのような制度なのか、また適用できないケースと併用できる税制について解説します。
枚方市を中心に、京阪エリア(寝屋川市、交野市、大東市、高槻市、守口市、四條畷市)全域で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。

\お気軽にご相談ください!/

相続税の取得費加算の特例とは

相続税の取得費加算の特例とは

相続により取得した不動産を売却した際に「取得費加算の特例」が適用されることがあります。
適用されれば、売却時にかかる税金の負担を軽減することが可能です。
ここでは、取得費加算の特例の概要や、適用条件などについて解説します。

取得費加算の特例の概要

取得費加算の特例とは、相続した不動産を売却して得た利益(譲渡所得)を計算する際に、支払った相続税額の一部を計算に加算できる制度です。
不動産売却の譲渡所得(利益)は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
このように譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。
取得費とは、不動産を取得する際にかかった費用のことで、譲渡費用とは売却時にかかった費用のことです。
この「取得費」の部分に相続税額の一部を加算することができます。
上記の計算式で譲渡所得がプラスになれば利益が出たことになり、この譲渡所得に対して譲渡所得税(所得税・住民税)が課せられます。
つまり、譲渡所得の金額が大きければ、負担する税金が大きくなるわけです。
そのため、取得費に相続税額の一部を加算できれば、譲渡所得が減り負担する税金も少なくできるメリットがあります。

取得費加算の特例の要件

特例を利用するには、下記の3つの要件を満たす必要があります。

  • 相続財産を取得した際に相続税を納めていること
  • 相続や遺贈により財産を取得していること
  • 相続開始から3年10か月以内に売却していること

このように納税者であることを前提として、期限内に売却していることなどが条件となっているため注意しましょう。

取得費加算の特例の計算方法

取得費に加算できる相続税額は「相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除額)」で求めることができます。
この計算式で算出された金額を譲渡所得を計算する際に用いる取得費に加算できます。
なお、課税価格とは課税対象となる固定資産の価格を指し、債務控除額は相続財産から借金などの債務を差し引いたあとの金額です。

\お気軽にご相談ください!/

相続税の取得費加算の特例が適用できないケースとは

相続税の取得費加算の特例が適用できないケースとは

取得費加算の特例が適用できないケースは、以下のような場合です。

  • 贈与によって取得したものであるとき
  • 夫婦間の相続であるとき
  • 譲渡所得以外で申告するとき
  • 法人の場合

それぞれのケースについてご説明します。

適用できないケース①贈与によって取得したものであるとき

贈与により取得した財産は、原則として取得費加算の特例は適用されません。
上記でも触れたように、適用されるのは相続もしくは遺贈(遺言による財産取得)で財産を得た場合のみです。
ただし、以下のように制度を利用した場合は例外となります。

  • 相続時精算課税制度:生前贈与の課税を相続時まで先送りする制度
  • 3年以内加算制度:生前贈与から3年以内に贈与者が亡くなった場合、贈与財産を相続財産に含める制度

これらの制度を用いた場合は、贈与であっても特例を利用することが可能です。

適用できないケース②夫婦間の相続であるとき

配偶者から相続した場合は、取得費加算の特例が利用できない可能性があります。
前述したとおり、この特例が利用できるのは相続税の納税者のみです。
しかし、夫婦間の相続の場合は配偶者の税額軽減の特例により、相続税がかからないケースがほとんどだと言えます。
配偶者の税額軽減の特例は、相続財産が1億6,000万円もしくは法定相続分の範囲内であれば課税されない制度です。
したがって、配偶者相続のように相続税がかからなかった場合は、取得費に加算する税額がないため、そもそも利用はできません。

適用できないケース③譲渡所得以外で申告するとき

相続税額を取得費に加算できるのは、譲渡所得のみに適用されます。
そのため、事業所得や雑所得、山林所得のように譲渡所得以外の所得として課税されるものは、取得費加算の特例は利用できないため注意しましょう。

適用できないケース④法人の場合

法人が遺贈により財産を取得したケースでは、取得費加算の特例を利用できません。
なぜなら、法人が財産を売却したときにかかる税金は、法人税だからです。
前述したとおり、取得費加算の特例は譲渡所得を計算する際に加算できる特例です。
法人が売却により得た利益は、法人全体の利益として加算されるため適用対象外となります。

\お気軽にご相談ください!/

相続税の取得費加算の特例と併用可能な税制

相続税の取得費加算の特例と併用可能な税制

取得費加算の特例には、併用できる特例があります。
併せて利用すれば、譲渡所得税の節税になるでしょう。
併用可能な税制は以下の3つです。

  • マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 居住用財産の買い換え特例
  • 小規模宅地等の特例

3つの税制について解説します。

併用可能①マイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

居住用財産のマイホームを売却した場合は、譲渡所得から最大で3,000万円控除できる特例を利用することが可能です。
所有期間に関係なく利用できるため、併用すればさらに節税対策が期待できます。
特例により譲渡所得が3,000万円未満となれば、譲渡所得税が非課税となります。
ただし、一時的に入居していた家屋などは対象外となるため注意しましょう。

併用可能②居住用財産の買い換え特例

マイホームを買い換えた際に発生した譲渡所得税の課税を、将来に繰り延べることができる制度です。
たとえば、相続した居住用財産を4,000万円で売却し、5,000万円で購入して住み替えたとしましょう。
この特例を利用すると、4,000万円にかかる譲渡所得税は、5,000万円で購入した新居の売却時にまとめて支払うことになります。
この特例も取得費加算の特例と併用することができ、先送りされた譲渡所得税を節税することができます。

併用可能③小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、被相続人が相続開始直前まで居住用・事業用などで用いていた宅地などを売却した場合に、一定面積まで相続税の課税価格を減額できる特例です。
この小規模宅地等の特例も、要件を満たせば取得費加算の特例と併用することができ、大幅に税金を減らすことができます。
ただし、小規模宅地などの特例は利用条件が複雑なため、利用を検討する場合は売却タイミングなどに注意しましょう。

まとめ

取得費加算の特例が適用されれば、譲渡所得を減らすことができ、譲渡所得税(所得税・住民税)の節税対策になります。
ただし、夫婦間の相続や贈与された財産の場合は、適用できないことがあるため注意が必要です。
また、3,000万円の特別控除など併用できる特例を利用すれば、さらに節税効果が期待できるでしょう。
枚方市の不動産売却なら枚方不動産売却買取センターへ。
売主様の利益を考えた売却スタイルでトータルサポートさせて頂きます。
どんな物件でも買取・売却をおこないますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


ブログ一覧ページへもどる

まずはご相談ください!

072-843-2800

営業時間
10:00~19:00
定休日
水曜日

改田享の画像

改田享

資格:宅地建物取引主任者 賃貸不動産経営管理士 ほめ達3級

売却不動産募集中!相続した空き家も積極的に買取ります。当社は迅速・丁寧・納得査定をお約束致します。大手ではございませんので、一度にたくさんの物件は取り扱い致しません。マンツーマンでじっくりと売却したいというお客様はぜひ改田迄。お部屋探しからのご縁で将来のマイホーム購入、ご実家の売却まで携わる事ができました事も深く感謝申しあげます。末永く皆様に可愛いがっていただけますと幸いでございます。

改田享が書いた記事

関連記事

売却査定

お問い合わせ