2024-06-22
不動産を売却すると、その利益(譲渡所得)に対して譲渡所得税(所得税・住民税)が課せられます。
もし相続によって取得した不動産を売却するのであれば「取得費加算の特例」を利用して節税対策が可能です。
そこで、取得費加算の特例とはどのような制度なのか、また適用できないケースと併用できる税制について解説します。
枚方市を中心に、京阪エリア(寝屋川市、交野市、大東市、高槻市、守口市、四條畷市)全域で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
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相続により取得した不動産を売却した際に「取得費加算の特例」が適用されることがあります。
適用されれば、売却時にかかる税金の負担を軽減することが可能です。
ここでは、取得費加算の特例の概要や、適用条件などについて解説します。
取得費加算の特例とは、相続した不動産を売却して得た利益(譲渡所得)を計算する際に、支払った相続税額の一部を計算に加算できる制度です。
不動産売却の譲渡所得(利益)は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
このように譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。
取得費とは、不動産を取得する際にかかった費用のことで、譲渡費用とは売却時にかかった費用のことです。
この「取得費」の部分に相続税額の一部を加算することができます。
上記の計算式で譲渡所得がプラスになれば利益が出たことになり、この譲渡所得に対して譲渡所得税(所得税・住民税)が課せられます。
つまり、譲渡所得の金額が大きければ、負担する税金が大きくなるわけです。
そのため、取得費に相続税額の一部を加算できれば、譲渡所得が減り負担する税金も少なくできるメリットがあります。
特例を利用するには、下記の3つの要件を満たす必要があります。
このように納税者であることを前提として、期限内に売却していることなどが条件となっているため注意しましょう。
取得費に加算できる相続税額は「相続税額×不動産の課税価格/(相続した全体の課税価格+債務控除額)」で求めることができます。
この計算式で算出された金額を譲渡所得を計算する際に用いる取得費に加算できます。
なお、課税価格とは課税対象となる固定資産の価格を指し、債務控除額は相続財産から借金などの債務を差し引いたあとの金額です。
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取得費加算の特例が適用できないケースは、以下のような場合です。
それぞれのケースについてご説明します。
贈与により取得した財産は、原則として取得費加算の特例は適用されません。
上記でも触れたように、適用されるのは相続もしくは遺贈(遺言による財産取得)で財産を得た場合のみです。
ただし、以下のように制度を利用した場合は例外となります。
これらの制度を用いた場合は、贈与であっても特例を利用することが可能です。
配偶者から相続した場合は、取得費加算の特例が利用できない可能性があります。
前述したとおり、この特例が利用できるのは相続税の納税者のみです。
しかし、夫婦間の相続の場合は配偶者の税額軽減の特例により、相続税がかからないケースがほとんどだと言えます。
配偶者の税額軽減の特例は、相続財産が1億6,000万円もしくは法定相続分の範囲内であれば課税されない制度です。
したがって、配偶者相続のように相続税がかからなかった場合は、取得費に加算する税額がないため、そもそも利用はできません。
相続税額を取得費に加算できるのは、譲渡所得のみに適用されます。
そのため、事業所得や雑所得、山林所得のように譲渡所得以外の所得として課税されるものは、取得費加算の特例は利用できないため注意しましょう。
法人が遺贈により財産を取得したケースでは、取得費加算の特例を利用できません。
なぜなら、法人が財産を売却したときにかかる税金は、法人税だからです。
前述したとおり、取得費加算の特例は譲渡所得を計算する際に加算できる特例です。
法人が売却により得た利益は、法人全体の利益として加算されるため適用対象外となります。
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取得費加算の特例には、併用できる特例があります。
併せて利用すれば、譲渡所得税の節税になるでしょう。
併用可能な税制は以下の3つです。
3つの税制について解説します。
居住用財産のマイホームを売却した場合は、譲渡所得から最大で3,000万円控除できる特例を利用することが可能です。
所有期間に関係なく利用できるため、併用すればさらに節税対策が期待できます。
特例により譲渡所得が3,000万円未満となれば、譲渡所得税が非課税となります。
ただし、一時的に入居していた家屋などは対象外となるため注意しましょう。
マイホームを買い換えた際に発生した譲渡所得税の課税を、将来に繰り延べることができる制度です。
たとえば、相続した居住用財産を4,000万円で売却し、5,000万円で購入して住み替えたとしましょう。
この特例を利用すると、4,000万円にかかる譲渡所得税は、5,000万円で購入した新居の売却時にまとめて支払うことになります。
この特例も取得費加算の特例と併用することができ、先送りされた譲渡所得税を節税することができます。
小規模宅地等の特例は、被相続人が相続開始直前まで居住用・事業用などで用いていた宅地などを売却した場合に、一定面積まで相続税の課税価格を減額できる特例です。
この小規模宅地等の特例も、要件を満たせば取得費加算の特例と併用することができ、大幅に税金を減らすことができます。
ただし、小規模宅地などの特例は利用条件が複雑なため、利用を検討する場合は売却タイミングなどに注意しましょう。
取得費加算の特例が適用されれば、譲渡所得を減らすことができ、譲渡所得税(所得税・住民税)の節税対策になります。
ただし、夫婦間の相続や贈与された財産の場合は、適用できないことがあるため注意が必要です。
また、3,000万円の特別控除など併用できる特例を利用すれば、さらに節税効果が期待できるでしょう。
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