2024-08-20
不動産を相続した際は、相続税や売却時の税金をなるべく抑えたいところでしょう。
そこで今回は、相続した不動産を3年以内に売却すると節税になる「相続空き家の特例」と「取得費加算の特例」、売却するときの注意点を解説します。
枚方市を中心に、京阪エリア(寝屋川市、交野市、大東市、高槻市、守口市、四條畷市)全域で不動産を相続予定の方は、ぜひ参考にご覧ください。
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「相続空き家の特例」とは、亡くなった方の自宅を相続した方が、その空き家や敷地を売却する際に適用できる特例です。
相続空き家の特例を利用すると、譲渡所得の金額から最大3,000万円を控除することができます。
つまり、通常よりも多くの金額を非課税にできるため、支払う譲渡所得税を大幅に減らすことができます。
譲渡所得とは、売却価格から購入時や売却時にかかった費用を差し引いた売却利益のことです。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費は、不動産を取得したときにかかった購入代金や不動産取得税などの費用のことです。
譲渡費用は、売却時にかかった仲介手数料や印紙税などを含みます。
相続空き家の特例を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
相続した空き家の主な適用要件は、以下のとおりです。
たとえば、土地を生前贈与で取得していた場合は、この特例は適用できません。
この特例を適用できるのは、1981年5月31日以前に建築された建物および敷地に限られます。
特例の背景には、旧耐震基準で建てられた空き家を減らす目的があるため、建物が建てられた時期が適用要件に含まれています。
ただし、旧耐震基準で建てられた建物をそのまま売却する場合は特例は利用できません。
耐震補強をおこなうか取り壊して更地にして売却する必要があります。
また、この特例を適用できるのは、亡くなった方が一人で暮らしていた自宅のみです。
ただし、故人が亡くなる直前に老人ホームに入居していた場合でも、以下の条件を満たせば特例を利用できます。
簡単に言えば、故人が正当な理由で老人ホームに入居し、その間住宅が空き家だった場合には特例を利用できます。
不安な場合は専門家に相談して確認してもらうと良いでしょう。
相続空き家の特例は、売却時にも以下のように細かい条件があります。
相続空き家の特例を利用するには、相続開始から3年後の年末までに売却する必要があります。
特例自体の適用期限もあり、2027年12月31日までに売却しなければなりません。
また、空き家を配偶者や親族、同族会社など特別な関係のある方や会社に売却した場合は、この特例を利用できません。
そして、売却代金が1億円を超える場合も特例の適用外となります。
売却が複数回にわたる場合や、複数の相続人で売却する場合は、それぞれの売却金額を合算して1億円を超えるかどうか判定します。
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相続税の取得費加算の特例は、相続した不動産を売却した際に、支払った相続税の一部を取得費に加算することができる制度です。
相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得額を計算すると、結果として、譲渡所得にかかる譲渡所得税も軽減されるため、節税効果があります。
相続税の取得費加算の特例を受けるには、以下の3つの適用要件をすべて満たす必要があります。
相続して取得した不動産は、上記の期間内に売却しないと節税の機会を失ってしまうため、売却のタイミングに注意が必要です。
相続税の取得費加算の特例を使った場合と使わない場合の譲渡所得税額の違いを単純計算で解説します。
故人が10年前に3,000万円で購入した土地を相続後に6,000万円で売却、その土地の相続税は600万円で譲渡費用は200万円だったケースを見比べてみましょう。
取得費加算の特例を使わない場合、以下の金額が算出されます。
一方、取得費加算の特例を適用して、相続税600万円を取得費に加算すると、以下の金額になります。
つまり、取得費加算の特例を使うと「568万8,200円-446万9,300円=121万8,900円」の節税になります。
ただし、実際に取得費に加算できる相続税額は複雑な計算式を用いて計算するため、専門家に相談しながら進めましょう。
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相続した不動産を3年以内に売却し、特例を利用する際には、以下の点にご注意ください。
相続した不動産を売却する際は、事前に手続きが必要です。
それは、故人から相続人への名義変更(相続登記)の手続きです。
相続登記をおこなわないと、公的には未だに故人名義のままとなり、売却時に相続人が権利を持っていないと判断され、売買契約が無効になってしまう可能性があります。
名義変更の手続きは、管轄の法務局で「所有権移転登記」を申請する方法でおこないます。
登記申請の手続きは煩雑なため、専門家である司法書士に依頼すると安心です。
相続した不動産を売却する際に最大限に節税を図りたい場合は、以下の手順が必要になります。
ただし、計算方法は複雑となり、適用要件に当てはまるかどうかの確認も必要となるため、専門の税理士に相談し、アドバイスを仰ぐのが賢明でしょう。
相続した不動産を売却する際には、早めの行動が重要です。
不動産は、買主がすぐに見つかるわけではなく、立地条件が良い不動産や事前に買主が決まっている場合を除いて、売却には時間がかかります。
不動産会社に売却の相談をし、買主が見つかり、売却が完了するまでには一定の期間が必要です。
そのため、売却の手続きを始めるのが遅れると、相続開始の日から3年10か月を過ぎてしまい、相続税の取得費加算の適用を受けられなくなる可能性があります。
個々の不動産によって異なりますが、売却完了までには少なくとも6か月程度を見込んでおくと良いでしょう。
相続した不動産は3年以内に売却すると、相続空き家の特例や取得費加算の特例によって節税することが可能です。
しかし、特例を適用するためには、適用要件を満たす必要があるため事前に確認しましょう。
注意点は、相続人に名義変更すること、相続空き家の特例と取得費加算の特例や併用できない、早めに売却することです。
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資格:宅地建物取引主任者 賃貸不動産経営管理士 ほめ達3級
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